アポリポ蛋白A2(APOA2)アイソフォーム

この度、昭和メディカルサイエンスでは、アポリポ蛋白A2(APOA2)アイソフォームの検査を2024年6月1日(土)受付分より新規受託開始いたしました。この検査は、アポリポ蛋白 A2(APOA2)は、高比重リポ蛋白の構成成分で 77 個のアミノ酸からなり、カルボキシル(C)末端にアラニン(A)、スレオニン(T)、グルタミン(Q)のアミノ酸配列を持つ二量体のタンパク質です。血液中の APOA2 は、全長のタンパク質と C 末端のアミノ酸配列が変化した APOA2 アイソフォーム(APOA2-i)の 5 種類(TQ/TQ、AT/TQ、AT/AT、AT/A、A/A)が存在し、健常人では TQ/TQ、AT/TQ、 AT/AT の 3 種類が多くを占めています。
膵癌患者では、血液中の各 APOA2 アイソフォーム量が変化することや、質量分析法により APOA2-AT 濃度と APOA2-TQ 濃度の比(APOA2-AT/TQ)が減少することが明らかになり、本検査(EIA 法)で測定した APOA2-AT 濃度と APOA2-TQ 濃度の相乗平均値(APOA2-i INDEX)と相関することが報告されています。
本検査は、腫瘍による膵外分泌機能の変化から生じた APOA2 アイソフォームの変化を捉えることにより、既存の腫瘍マーカー(CA19-9)では捉えられない膵癌を検出することが期待されます。
アポリポ蛋白A2(APOA2)アイソフォーム検査に関する検査要項は以下をご参照ください。
※ 本内容は、2024年4月時点での情報となります。

検査項目名 アポリポ蛋白A2(APOA2)アイソフォーム
項目コード 5258
採取容器 分離剤入り容器
検体必要量 血清0.5mL
保存方法 冷蔵
検査方法 EIA法
単位 μg/mL
基準範囲 AT:なし
TQ:なし
INDEX:59.5以上
報告範囲 AT:3.25未満~最終値
TQ:5.75未満~最終値
INDEX:0.0~最終値
報告桁数 AT:小数第2位
TQ:小数第2位
INDEX:小数第1位
所要日数 4~10日
検査実施料 335点
判断区分 生化学的検査 Ⅱ
備考
  • 「ア」本検査は、以下の(イ)から(ハ)までのいずれかに該当する者に対して、膵癌の診断の補助を目的として、血液を検体として測定した場合に、膵癌の診断の確定までの間に原則として1回を限度として算定できる。本検査を実施するに当たっては、関連学会の定める指針を遵守するともに、膵癌を疑う医学的な理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
    • (イ)関連学会が定める指針に基づき膵癌の高度リスクに該当する者。なお、本検査を実施する患者が3月以内にCA19-9検査を行われており、CA19-9の値が0U/mL以上である場合には、本検査は算定出来ない。
    • (ロ)関連学会が定める指針に基づき膵癌の中等度リスクに該当する者であって、癌胎児性抗原(CEA)検査の結果が陰性であり、CA19-9値が0U/mL以上かつ100U/mL以下の者。
    • (ハ)関連学会が定める指針に基づき膵癌のリスク因子が3項目以上該当する者であって、癌胎児性抗原(CEA)及びCA19-9検査の結果が陰性である者。
  • 本検査と、癌胎児性抗原(CEA)、DUPAN-2又はSPan-1を併せて測定した場合は主たるもののみ算定する。
  • 本検査を「ア」の(イ)に対して実施する場合はCA19-9の測定年月日及び測定結果を、「ア」の(ロ)及び(ハ)に対して実施する場合は癌胎児性抗原(CEA)及びCA19-9の測定年月日及び測定結果を、診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
  • 新規受託開始の詳細につきましてはSMS『No.2024-15』をご確認下さい。詳しくはこちら

その他のお知らせや各種検査項目に関する詳細につきましては、検査案内をご活用下さい。

※本コラムは、医療従事者を対象とした臨床検査に関連する情報提供を目的としたサイトです。一般の方に対する情報提供を目的としたものではございません。

この記事を書いた人

臨床検査センター 昭和メディカルサイエンス 照会業務部 Y.S.

医療現場で臨床検査を実施し、得られた各種データを活⽤して、診断や治療を支えるのが臨床検査センターの役割です。