溶血とは
溶血とは
溶血とは、赤血球膜が化学的及び物理的要因によって破壊され、赤血球の内容物が血清あるいは血漿に漏出する現象です。
主にヘモグロビンが漏出するため、遠心分離後はヘモグロビンを含んだ赤い上清となり、目視でも確認が可能です。
溶血が発生すると「カリウム」や「LDH」など、検査結果に有意な影響を及ぼす検査項目があります。
溶血を伴う疾患以外で、溶血が発生する要因としては、以下のようなものが考えられます。
Case | 溶血要因一覧 |
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1. | 採血部位の消毒液が十分に乾かないうちに採血を行った場合、消毒液が血液に接触し、溶血をすることがあります。 |
2. | 23G(ゲージ)より細い採血針を使用した場合や、シリンジ採血時に押し子を強く押して採血管へ分注した場合など、採血針の中を血液が通過する際の過剰な圧力により溶血することがあります。 |
3. | 真空管採血管の内部は一定の血液量を採取するための陰圧がかかっています。 真空採血管を使用した際に採血量が規定量より少ない場合、採血管内の陰圧により溶血することがあります。 |
4. | 抗凝固剤や、凝固促進剤入りの採血管では採血後に薬剤と血液とを混和させるために転倒混和を行います。 上下に振るなど、血液が泡立つほどの強い転倒混和を行った場合に溶血することがあります。 |
5. | 採血後の検体を遠心分離せずに凍結した場合、凍結による細胞膜の破壊が起こるため融解後の上清は強溶血となります。 |
※ Case1~5は、溶血を引き起こす要因の主な事例です。
※本コラムは、医療従事者を対象とした臨床検査に関連する情報提供を目的としたサイトです。一般の方に対する情報提供を目的としたものではございません。
この記事を書いた人
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臨床検査センター 昭和メディカルサイエンス 検査管理課 M.A.医療現場で臨床検査を実施し、得られた各種データを活⽤して、診断や治療を支えるのが臨床検査センターの役割です。 |