悪性腫瘍特異物質治療管理料

悪性腫瘍特異物質治療管理料と腫瘍マーカー

悪性腫瘍特異物質治療管理料

悪性腫瘍特異物質治療管理料とは、悪性腫瘍の患者に対して、腫瘍マーカー検査を実施し、その結果に基づいて計画的な治療管理を行った場合に、月1回に限り算定する医学管理料という診療報酬の1つです。

 

腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカー検査とは、悪性腫瘍の診断や経過観察に用いられる検査です。悪性腫瘍の種類や進行度によって、腫瘍マーカーの値が変化するため、腫瘍マーカー検査の結果を基に、患者の状態や治療状況を把握し、適切な治療方針を立てて治療管理を行うことができます。

 

悪性腫瘍特異物質治療管理料の算定要件・算定例

 

算定要件
  • 悪性腫瘍の確定診断名があること
  • 腫瘍マーカー検査の結果に基づき、計画的な治療管理を行っていること
  • 月に1回算定

 

算定例
    • 胃癌と診断された患者に対して、腫瘍マーカー検査(CEA)を実施し、その結果に基づいて、抗がん剤治療を開始した場合
    • 腫瘍マーカー検査の結果が、CEA 200 ng/mL から 100 ng/mL に低下したことを踏まえて、抗がん剤治療を継続することとした
    • 腫瘍マーカー検査を行った月は、悪性腫瘍特異物質治療管理料と腫瘍マーカー初回月加算が算定される

※ あくまで算定例です。

 

悪性腫瘍特異物質治療管理料の算定のポイント

悪性腫瘍特異物質治療管理料を算定するためには、いくつかの注意が必要です。

主な注意点
  • 診療録に基づき、悪性腫瘍の確定診断名が記載された診療報酬明細書が提出されていること
  • 腫瘍マーカー検査の結果に基づいて、計画的な治療管理が行われていることを示すものとして、治療経過の記録や治療方針の記載された診療録の内容が、診療報酬明細書に記載されていること
  • 腫瘍マーカー検査を行った初回月である場合、腫瘍マーカー初回月加算も算定されること。ただし、その前月に腫瘍マーカーの検査料を算定していたら初回月加算は算定できないというルールになっています

 

悪性腫瘍特異物質治療管理料の役割

悪性腫瘍特異物質治療管理料は、悪性腫瘍の患者に対して適切な治療管理を行うために必要な費用を算定しています。算定要件を満たす患者に対して適切に算定することで、悪性腫瘍の患者の治療の質の向上につながります。

 

※ 診療報酬についての質疑・確認などは所在地管轄の厚生局にお問い合わせください

この記事を書いた人

臨床検査センター 昭和メディカルサイエンス 照会業務部 Y.S.

医療現場で臨床検査を実施し、得られた各種データを活⽤して、診断や治療を支えるのが臨床検査センターの役割です。