梅毒関連検査について

梅毒関連検査について

近年、梅毒感染者の急増が話題とされていますが、梅毒自体は古くからある感染症です。

主な検査方法として、原因菌である梅毒スピロヘータ(TP :Triponema pallidum)の菌体成分であるリン脂質(カルジオリピンやレシチンなど)を抗原として用いたSTS法(Serologic Test for Syphilis)のほか、菌体そのものに対する抗体(TP抗体)を検出する方法があり、梅毒診断の補助として重要な役割となっています。

STS法の代表的な検査はRPR法、TP抗体の代表的な検査法はTPHA法ですが、近年では、STS法およびTP抗体測定法について、ラテックス粒子を用いた免疫測定法(LA法)が普及してきました。

RPR-LA法の利点としては、今までの定量検査が半定量法(2倍希釈法)であったのに対し、特異的な測定法による高感度な定量値報告が可能で、初期感染の判断や治療経過観察の指標となることです。欠点としては、非特異反応による偽陽性の頻度が、従来法と比較して高いことが挙げられます。

TP-LA法の利点としては、従来法が常在菌の交差反応を打ち消すために、80倍希釈以上を陽性としていたのに対し、特異的な抗体測定法による定量値報告が可能なことで、欠点はRPR-LA法と同様にLA法特有な非特異反応の発生が挙げられます。

※本コラムは、医療従事者を対象とした臨床検査に関連する情報提供を目的としたサイトです。一般の方に対する情報提供を目的としたものではございません。

この記事を書いた人

臨床検査センター 昭和メディカルサイエンス 検査部 A.M.

医療現場で臨床検査を実施し、得られた各種データを活⽤して、診断や治療を支えるのが臨床検査センターの役割です。