コンポーネント検査の重要性

コンポーネント検査の重要性

コンポーネント検査は、主に以下の4つの有用性が期待されています。

  • 臨床的感度・特異度の向上
    ①臨床的感度の向上
    症状誘発に重要なコンポーネントが粗抽出アレルゲン中の含有量が少ない場合、粗抽出アレルゲンでは患者さんの血清中に存在する当該コンポーネントに対する特異的IgEの検出が十分でなく、陰性と判定される場合があります。
    そこで、そのコンポーネントに対する特異的IgEを測定することで、感度を改善できる可能性があります。
    ②臨床的特異度の向上
    粗抽出アレルゲン中には、症状誘発に強く関与するコンポーネントとあまり関与しないコンポーネントが混在しています。
    症状のない患者さんで粗抽出アレルゲンの特異的IgEが陽性となることがありますが、これは症状誘発との関係が強くないコンポーネントが粗抽出アレルゲン中に含まれていることが一因です。このような場合では、症状誘発に関与するコンポーネントの特異的IgEのみを測定することで、症状のある患者さんのみを陽性と判定できる可能性が高まります。※  特異的IgE検査における陽性は「感作」、すなわち「血中に当該アレルゲンに対する特異的IgEが存在する」ことを意味します。
    感作はアレルギー発症に必要な条件ですが、感作していれば必ず症状が出るというわけではありません。
    アレルギー診療は他の疾患と同様、検査結果のみでなく既往歴や他の検査結果とあわせて総合的に診断する必要があり、診断のゴールドスタンダードは負荷試験とされています。
    しかしながら負荷試験は重篤症状誘発等のリスクを伴うため、簡便な血液検査が広く利用されています。
  • 免疫療法の適応判断
    免疫療法は、現在においてアレルギーの唯一の根治療法とされていますが、長期間にわたり実施する必要があるにもかかわらず 効果が出にくい患者さんもいるので、 効果を見込むことのできる患者さんを事前に選別することができれば、診療上の大きなメリットとなります。免疫療法では、当該患者が実際に感作しているコンポーネントを必要量負荷することが必要ですが、マイナーコンポーネントに感作している場合は、負荷アレルゲンに含まれる必要コンポーネント量も微量になってしまうために治療効果が得られにくいと考えられます。実際にヨーロッパでは、シラカンバ花粉症の患者さんに対して シラカンバ花粉のコンポーネントに対する感作パターンを確認し、メジャーアレルゲンに感作していれば 高い治療効果が期待できると報告されています。
  • 感作範囲の限定
    PFASというアレルギー疾患があります。この疾患は花粉症の方が果物や野菜を食べたときに特に口腔症状を起こすアレルギーです。一見、花粉と果物や野菜は全く別のアレルゲンと思われますが、共通のコンポーネントに感作することにより、広い範囲で特異的IgEが陽性となることがあります。
    患者さんの感作しているコンポーネントを調べることで、その患者さんがどこまでの範囲に症状を誘発する可能性があるのかをみることができます。※ PFASに関するコラムについてはこちらをご覧ください。
  • 重篤な誘発症状のリスク推定
    アレルギー症状発現の原因となるコンポーネントの種類により、誘発症状の重篤度が異なる傾向があります。
    感作しているコンポーネントが、温度やpHの変化により変性しやすい場合、消化により変性し全身症状にはいたらずOASといった比較的軽い症状にとどまったり、加熱することで症状が誘発されなくなったりしますが、温度やpHの変化に耐性のあるコンポーネントの場合、消化の過程においても抗原性が保たれ、経腸管吸収されることでアナフィラキシーといった全身症状、重篤な症状を誘発する可能性が高くなるとされています。
    患者さんの感作しているコンポーネントをみることで、重篤症状の誘発リスクを推定できる可能性があります。


※本コラムは、医療従事者を対象とした臨床検査に関連する情報提供を目的としたサイトです。一般の方に対する情報提供を目的としたものではございません。

この記事を書いた人

臨床検査センター 昭和メディカルサイエンス 照会業務部 Y.S.

医療現場で臨床検査を実施し、得られた各種データを活⽤して、診断や治療を支えるのが臨床検査センターの役割です。