総IgE、特異的IgEとは

総IgEとは

総IgEは、IgE抗体の総量を指します。

主にアレルギー疾患症例において高値を示し、患者さんの症状がアレルギー性か否かの鑑別に有用です。
ただし、特異的IgEが陽性でも総IgEが基準値を超えない場合があるため、アレルギーか否かは、特異的IgEや既往歴等とあわせて総合的に判断する必要があります。

特異的IgEとは

大きな目的としては、特異的IgEの存在(感作)の確認です。
感作は即時型アレルギー発症の前提となりますので、原因アレルゲンの診断に特異的IgE測定は重要です。ただし、特異的IgEは感度(そのアレルゲンが原因の患者さんで陽性になる率)が高い検査ですが、特異度(そのアレルゲンが原因でない患者さんで陰性になる率)はあまり高くない傾向があります。そのため、そのアレルゲンに対するアレルギーか否かの診断は、特異的IgE検査結果だけでなく、問診による詳細な既往確認や、場合によっては負荷試験を行い、総合的に評価する必要があります。なお、特異的IgE測定は、単なる感作の確認だけでなく、症状発現の可能性の指標(プロバビリティカーブ)とするなど、抗体価を用いての評価も行われるようになってきています。また、小麦、ピーナッツ、ナッツ類など一部のアレルゲンでは、従来の粗抽出アレルゲンとアレルゲンコンポーネントに対する特異的IgEをあわせて測定することで、臨床的特異度を向上することも可能になってきています。<参考資料>
食物アレルギーの診療の手引き2017

IgE抗体についてはこちらをご覧下さい。

※本コラムは、医療従事者を対象とした臨床検査に関連する情報提供を目的としたサイトです。一般の方に対する情報提供を目的としたものではございません。

この記事を書いた人

臨床検査センター 昭和メディカルサイエンス 照会業務部 Y.S.

医療現場で臨床検査を実施し、得られた各種データを活⽤して、診断や治療を支えるのが臨床検査センターの役割です。